ソーシャルレンディングで確定申告が必要なケースとは?不要な場合もある?

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最終更新日 2023.01.16

ソーシャルレンディングの分配金は源泉徴収の対象であるため、税引き後の金額が投資家の利益となります。税率は20.42%(所得税20%+復興税0.42%)です。 一見、課税関係は終了しているように見えますが、原則、ソーシャルレンディングの分配金を受け取った場合には確定申告が必要です。ただし、例外的に確定申告不要なケース、不要だけれど申告したほうがお得になるケースがあります。

そこで本記事では、ソーシャルレンディングの税金と確定申告について詳しく解説します。

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ソーシャルレンディングには確定申告が必要?

ソーシャルレンディングには確定申告が必要?

ソーシャルレンディングの分配金に対しては、基本的に源泉徴収が行われるため、特に確定申告は不要であるように思えます。なぜ、ソーシャルレンディングには確定申告が必要になるのでしょうか。

ソーシャルレンディングに確定申告が必要な理由

ソーシャルレンディング投資の収益は、「雑所得」に分類されます。所得税の課税方式は、「総合課税」と「分離課税」の2種類があり、雑所得を含む総合課税に該当する所得については、その収入金額のすべてを合算して所得税を計算するという決まりがあります。ソーシャルレンディングの分配金も雑所得であるため、ほかの総合課税の所得(例:給与所得、不動産所得など)と合算して、所得税を再計算しなければなりません。そのために確定申告が必要なのです。なお、確定申告することで、ソーシャルレンディングの分配金の受取時に徴収された20.42%の税金の過不足が精算されることになります。

以下の1~4に当てはまる人は、原則、確定申告が必要なので忘れずに申告しましょう。

1.給与所得者で雑所得が年間20万円を超える

会社員などの給与所得者で、ソーシャルレンディング投資の所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。ちなみに、会社員の方の副業収入も雑所得ですので、同様に副業所得が20万円を超えると確定申告をしなければなりません。

2.2ヵ所以上から給与をもらっていて、他の所得が20万円以上ある

複数から受けている給与のすべてが源泉徴収対象である場合で、年末調整されていない収入と、ソーシャルレンディング投資を含む雑所得との合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。ただし、給与合算額から、所得控除額(*)を差し引いた残りの額が150万円以下で、さらにソーシャルレンディングを含む雑所得の合計が20万円以下の場合は申告不要です。(*)雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除は除く

3.給与収入が年間2,000万円を超える

年収が2,000万円を超える給与所得者は、会社の年末調整ではなく自分で確定申告をして所得税を納めることになっています。確定申告をする場合は、ソーシャルレンディング投資の収益の多寡にかかわらず、すべてを申告しなければなりません。

4.個人事業主としての所得が48万円以上

個人事業主は、給与所得控除の適用がないため、ソーシャルレンディング投資の所得も含めた年間所得が、基礎控除額である48万円を超えると確定申告が必要です。また、無職の主婦(夫)や学生も同様にソーシャルレンディング投資による収益が基礎控除額である48万円を超えれば課税対象になります。
参照:国税庁|確定申告が必要な方

ソーシャルレンディングの確定申告が不要なケースは?

一方、確定申告が不要なケースもあります。確定申告が必要な人の裏返しになりますが、給与所得者は20万円、自営業者や専業主婦(夫)などは48万円という数字がキーです。

確定申告が不要なのはどんな人?

会社員の方で、所得が会社からの給与とソーシャルレンディングの収益だけの場合、分配金が20万円以下であれば確定申告は不要です。また、個人事業主や、無職の方は、ソーシャルレンディング投資からの収益も合わせた年間所得の合計額が48万円以下であれば、確定申告不要です。

確定申告が不要な場合でも申告すれば還付を受けられることも

確定申告が不要なケースでも、あえて確定申告をすることで税金の還付を受けられる場合があります。ソーシャルレンディングでは、分配金から20.42%の所得税がすでに控除されています。所得税は累進課税方式であるため、所得額に比例して税率が上がる仕組みです。

仮に所得税額が5%の方が、20.42%の税金を払っていたら、税金を払いすぎていることになります。課税所得が195万円未満であれば、所得税率は5%、住民税10%の合計15%の税金を払えばよいことになりますので、確定申告すれば約5%相当の金額が還付されます。

【注意】住民税の申告を忘れずに!

ソーシャルレンディング投資の分配金から徴収されているのは所得税のみで住民税は引かれていません。住民税は、別途申告する必要があるのです。ただし、確定申告を行った場合は、そのデータが市区町村へ送信され自動で住民税の計算がされるため、住民税だけの申告は不要です。別途、住民税だけの申告が必要なのは、確定申告をしないケースに限ります。

ソーシャルレンディングの確定申告をしなかった場合はどうなる?

ソーシャルレンディングの確定申告をしなかった場合はどうなる?
確定申告すべきケースで、正しい申告を行わないとペナルティの対象となりますので注意しましょう。

期限までに申告しない、または、申告はしても、納期限までに税金を払わないなどの場合、以下のようなペナルティが課されます。

無申告加算税

納付すべき税金があるにもかかわらず、確定申告書を申告期限までに提出しなかった場合に課されます。
ペナルティとしては、納付すべき税金が50万円以下の場合15%、50万円以上では20%の課税です。なお、税務署から指摘される前に自主納付すれば5%へ減額措置があります。

延滞税

法定納期限までに税金を納めない場合に課されます。ペナルティは、納期限の翌日から2ケ月以内であれば原則、年7.3%、2ケ月経過後は、原則、年14.6%の課税です。(令和3年1月1日以後の割合)
ソーシャルレンディング投資の分配金については、事業者から税務署へ「支払調書」が提出されているため、所得をごまかすことはできません。加算税や延滞税という余分な支払いを回避するためにも、正しい申告納税を心掛けましょう。
参照:国税庁|No.9205 延滞税について
参照:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき

ソーシャルレンディングの確定申告をする際の注意点

次に、ソーシャルレンディングの確定申告をする際の注意点を見ていきましょう。

「損益通算」や「損失の繰り越し控除」はできない

例えば、「給与所得」と「不動産所得」、「給与所得」と「事業所得」などは損益通算が可能です。不動産所得や、事業所得の損失を給与所得から相殺できれば、所得税の軽減につながります。しかし、ソーシャルレンディング投資で損失が出た場合でも、ほかの所得と「損益通算」ができません。ソーシャルレンディング投資で損失が出た場合には、ほかの所得と相殺できないことを覚えておきましょう。

また、ソーシャルレンディング投資では、損失を翌年以降に繰越すこともできません。例えば、株式投資では、譲渡損失が発生し、損益通算してもなお損失が残る場合に、損失を3年間繰り越し控除することができます。

同じ投資による所得でも、ソーシャルレンディングは雑所得扱いであるため、融通が利きにくい投資であることを頭の片隅に置いておきましょう。

確定申告時は経費計上も忘れずに行おう

ソーシャルレンディング投資の収益は雑所得であるとお伝えしていますが、雑所得とは雑収入から必要経費を差し引いた金額です。

  • 雑所得 = 雑収入 - 必要経費

ソーシャルレンディング投資も、必要経費とできるものがあります。関連図書費、口座振替手数料、通信費の一部などが考えられます。ソーシャルレンディングの必要経費の額はそれほど大きくないかもしれませんが、雑所得を減額できれば多少の節税効果はあるかもしれません。

ソーシャルレンディングの確定申告方法【4ステップ】

確定申告期間は、例年2月16日から3月15日です。直前になって慌てることのないよう早めに準備を始めましょう。ソーシャルレンディングの確定申告はおおむね次の流れで行います。

Step1.確定申告に必要な書類を集める

確定申告には、以下の書類が必要になります。

  • マイナンバーカード(または、マイナンバー通知カード)
  • 源泉徴収票
  • ソーシャルレンディングの分配金がわかる書類(年間取引報告書など)
  • 必要経費の領収書
  • 預貯金口座番号(還付を受ける人)

Step2.確定申告書を作成する

ソーシャルレンディング投資をしている方であれば、e-Taxを利用して申告書を作成するのが簡単です。国税庁HPの確定申告書等作成コーナーにて、案内に従って数字を入力するだけで、税額が自動計算されるため計算間違いが起こりません。2023年1月より(2022年申告分)、マイナンバーカードやスマホを利用した手続きの利便性がさらに向上します。ネット環境があり、PC操作ができるソーシャルレンディングの投資家には、ネット申告が適しているでしょう。

参照:国税庁|国税庁のホームページで所得税等の申告書等作成・e-Taxがますます便利に!

Step3.確定申告書を提出する

e-Taxを利用すれば、確定申告書をそのまま送信できます。また、申告書は出力後、税務署へ郵送、持参することも可能です。

Step4.税金を納付する

次のいずれかの方法で納税します。

  • 口座振替
  • クレジットカード
  • 現金(金融機関窓口、コンビニ)

口座振替納税の場合、事前に届出書が必要です。e-Taxを利用した電子納税手続きの場合、申告書作成→提出→納税(口座振替)までがスムーズです。ただし、電子納税では領収書の発行がありませんので、領収書が必要な方は、納付書を持参して窓口で納税をしてください。

ソーシャルレンディング投資の分配金は正しく確定申告

今回は、ソーシャルレンディングの税金と確定申告について詳しく解説してきました。

ソーシャルレンディングの分配金は雑所得に区分されるため、一部の例外を除き、ほかの総合課税の所得と合算して所得税の再計算を行い、確定申告により納税額の過不足を精算しなければなりません。確定申告が必要であるにもかかわらず、申告を怠ると加算税や延滞税の対象となることもありますので注意しましょう。

ソーシャルレンディング投資からの収益は、ほかの9つの所得区分と損益通算ができず、損失の繰り越しもできません。しかし、経費をきっちり計上すること、または、家族内で所得税率の低い方が投資を行うなどの工夫で、税金を軽減する余地はあります。いずれにしても、ソーシャルレンディングの税金の仕組みをしっかり理解し、正しい申告をすることが大切です。

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