太陽光発電ファンドと不特法の関係:第3回「信託とTMKスキーム」

別の回で、不動産特定共同事業法(以下不特法)の規制を受けない不特法スキームについて解説しました。
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不特法の規制対象にならずに太陽光発電ファンドで運用するには、不特法以外のスキームで事業の仕組みを構築できます。
今回は、不特法以外で法規制を回避できる2つの対策として、信託スキームとTMKスキームについて解説します。
目次(クリックで項目へジャンプ)
信託スキーム
信託スキームは、SPC(特別目的会社)が発電設備を設置する土地を信託銀行に譲渡することにより、不特法の規制を回避します。
譲渡した土地に信託受益権を保有して、信託銀行からの利益還元を受ける仕組みです。
発電設備は自己所有となります。
運営主体となるSPCを取り巻く事業の仕組みは次のとおりです。
アセットマネージャーに業務委託する
信託銀行に発電設備を設置する土地を譲渡する
信託銀行から利益還元を受ける
匿名組合員のプロ投資家から匿名組合出資を集める
匿名組合員のプロ投資家に配当する
第2種金融商品取引業者に業務委託する
第2種金融商品取引業者は投資家に出資勧誘する
発電設備の設置用土地を所有する
信託スキームの仕組みは、上記の関係で連携しています。
SPCがアセットオーナーになって、専門的な取組みを信託銀行やアセットマネージャーに委託する形式です。
TMKスキーム
TMKスキームは、資産流動化法で定められているTMK(特定目的会社)として運用する仕組みです。
運営主体となるSPCは、不特法対策として資産流動化法のもと土地の所有が認められます。
SPCと連携する事業の仕組みは次のとおりです。
アセットマネージャーに業務委託する
匿名組合員のプロ投資家から優先出資を受ける
匿名組合員のプロ投資家に配当する
第1種金融商品取引業者に業務委託する
第1種金融商品取引業者は投資家に出資勧誘する
資産流動化法のもと土地を所有する
発電設備の設置用土地を所有する
TMKスキームは、資産流動化法による税制上の適用を受けるため、優先出資を募集する投資家に対して社債発行が必要になる場合もあるようです。
ただし、プロ投資家からの優先融資が受けることが条件となり土地の所有が認められます。
不特法を回避する対策
今回は、不特法以外のスキームで規制対象にならない太陽光発電ファンドの事業を紹介しました。
2つのスキームには、それぞれ特徴があります。
信託銀行の信託受益権を利用した信託スキームや、資産流動化法により土地持ちSPCの規制を回避できるTMKスキームの仕組みを解説しました。
不特法は、法改正により投資家の利益とファンド事業の健全性が強化されています。
今後の太陽光発電ファンド事業の仕組みにも期待が掛かります。
データ参照:
http://www.spc-asset.jp/pdf/article_201511-2.pdf