
最終更新日 2022.05.01
不動産特定共同事業法(以下不特法)で認可を受けている事業者は、どのような基準をクリアしているのでしょうか?投資する立場としては、事業者の認可基準を知っておきたいところです。
不特法の解説シリーズ、第1回「不特法施行の背景と目的」、第2回「不特法の法改正の流れ」に続く第3回は、どのような事業者が不特法により営業許可を得ているのか?不特法の事業形態を紹介します。自分の投資先企業を知るうえで、不特法の事業形態を把握しておきましょう。
目次(クリックで項目へジャンプ)
不特法の事業形態
不特法には、事業形態として3つのタイプがあります。
事業形態その1.任意組合型
任意組合型とは、投資ファンド出資者が共同事業を営む民法上の組合です。任意組合型の仕組みは、事業者と契約した現物不動産の投資家持ち分に組合を通して出資します。不動産の管理・運用は、事業者が行うタイプになります。任意組合型の場合は、実際に物件の所有者となるため、従来の不動産投資と同じように不動産所得に関する知識が必要となるでしょう。
事業形態その2.匿名組合型
匿名組合型は、営業者が匿名出資者から集めた出資金を運用して利益を出し、その利益を出資者に分配するタイプです。不動産ファンドでもっとも多い事業形態です。匿名組合型は、不動産物件を所有する必要がありません。分配金の区分も雑所得扱いになるため、短期で身軽な資産運用に向いています。出資単位も1万円からと手軽なため、不動産ファンドとして注目されている形態です。
事業形態その3.賃貸借型
賃貸借型は、投資家が所有する不動産と賃貸・委任契約する事業タイプになります。投資家から委任されている不動産の賃貸収入を投資家に分配する仕組みです。賃貸借型は、任意組合型と同様に自分で所有する不動産を扱うことが前提となります。そのため、自然災害や事故などが発生したときの責任問題を問われます。
出資額で分けられる4つの事業者
不特法は、出資額の大きい順に第1号から4号までの4つの事業者に分類されます。
事業者の種類 | 事業者の内容 | 資本金 |
第1号事業者 | 不特法で許可を受けて運営している不動産取引で得た利益を分配する事業者 | 1億円 |
第2号事業者 | 不特法による契約を代理・仲介する事業者 | 1,000万円 |
第3号事業者 | 不特法のもと、倒産隔離型の特例事業者から委託されて不動産取引を運営する事業者 | 5,000万円 |
第4号事業者 | 特例事業者と不特法による契約を代理・仲介する事業者 | 1,000万円 |
第1号事業者は、一般的な不動産クラウドファンディングの仕組みです。第2号や第4号事業者の場合は、不動産ファンド会社に投資家との契約を委託する仕組みとなります。それぞれに出資金が設定されていて、投資家勧誘の役割がある第2号、第4号事業者は、資本金が低く設定されています。
不特法を学んで不動産クラウドファンディングに参加してみよう
今回は、不特法の事業形態や種類などについて解説してきました。事業者によって運営内容が異なることが理解できたでしょうか。不動産クラウドファンディングの活用のヒントとなることを願っています。
全3回で不特法の概念を学んでいきましょう!