不動産特定共同事業法(不特法)を分かりやすく解説!投資家が知っておくべき基礎知識

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最終更新日 2023.01.24

現物不動産投資は、資金面や管理の手間などのハードルが高いことで知られています。そこで近年、不動産投資のさまざまな小口化商品が取引されるようになりました。その背景には「不動産特定共同事業法(不特法)」の法整備が行われたことが大きく関わっています。

そこで今回は、不動産特定共同事業法の概要や改正ポイント について分かりやすく解説します。

 

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不動産特定共同事業法(不特法)とは?

不動産特定共同事業法とは、不動産特定共同事業の健全な発展を目的として、1995年4月に施行された法律です。略して「FTK法」とも呼ばれることがあります。

法律制定の背景にあるのは、1980年代のバブル期に不動産小口化商品の販売が活性化したことが主として挙げられるでしょう。しかし、バブルが崩壊したあとに数多くの事業者が倒産し、投資家の多くも甚大な損害を被ることになりました。

こうした、投資家保護の観点からも法整備の重要性が高まり、不動産特定共同事業法の改正が行われる運びとなったわけです。

 

不動産特定共同事業とは?

不動産特定共同事業とは、事業者が複数の投資家から調達した資金を元手に、不動産を取得・運用し、そこから生まれた収益を投資家の出資金額に応じて分配する事業のことを指します。

不動産特定共同事業法の施行後は、不動産特定共同事業の実施には「国土交通大臣」または「都道府県知事」の許可が必要になりました。

 

不動産特定共同事業の3つの契約類型

不動産特定共同事業法では、不動産特定事業を以下の3つの契約類型に分けています。

  1. 任意組合型
  2. 匿名組合型
  3. 賃貸委任型

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

 

1.任意組合型

事業者が投資家と任意組合契約を締結して進める不動産特定共同事業の形態が「任意組合型」です。事業者が組合の代表となって、不動産の運用・管理を行います。投資家は出資した金額に応じた不動産の共有持分を購入し、その共有持分を組合に対して現物出資する形になります。

 

2.匿名組合型

事業者が投資家と匿名組合契約を締結して進める不動産特定共同事業の形態が「匿名組合型」です。事業者は不動産を運用し、投資家は匿名組合員として事業者に出資します。

なお、投資家は匿名で出資することが可能で、出資額に応じて収益の分配を受けますが、任意組合型と異なり不動産の所有権がない点が大きな特徴です。

 

3.賃貸借型

事業者が不動産を賃貸または賃貸委任する契約を投資家と締結し、事業者が対象の不動産を賃貸またはその委任を受けた不動産の管理・運営などの事業を行いられる賃貸収益を投資家と分配するという不動産特定共同事業の形態が「賃貸借型」です。複数の投資家によって組合が組織され、事業者と互いに資金を出し合って不動産を購入します。主な収益は賃貸収入となるのが特徴です。

 

不動産特定共同事業の種類と資格要件

不動産特定共同事業を行う事業者は4種類あり、それぞれ必要な資本金などの資格要件が定められています。それぞれの特徴を以下で詳しく見ていきましょう。

 

出資額で分けられる4つの事業者

不動産特定共同事業に携わる事業者は、必要な出資額によって以下の4つの事業者に分かれています。

なお、国土交通省から不動産特定共同事業の許可を得るためには、必要な資本金を満たしていることが条件になります。

 

第1号事業者

不動産特定共同事業契約を締結し、契約に基づいて運営される不動産取引から得られる利益等の分配を行う事業者。

許可に必要な資本金は1億円以上が条件。 

 

第2号事業者

不動産特定共同事業契約締結の代理もしくは媒介をする事業者(第4号事業に該当するものまたは適格特例投資家限定事業に係るものは除く)。

許可に必要な資本金は1,000万円以上が条件。

第3号事業者

特例事業者の委託を受け、投資家と結んだ不動産特定共同事業契約に基づいて運営される不動産取引に係る業務を行う事業者。

許可に必要な資本金は5,000万円以上が条件。

第4号事業者

特例事業者が当事者となる不動産特定共同事業契約締結の代理・媒介をする事業者。

許可に必要な資本金は1,000万円以上が条件。

 

国土交通省が定める資格要件

事業者が許可を受けるためには、上記で解説した資本金条件を含め、国土交通省が定める8つの要件を満たす必要があります。
  1. 資本金または出資額が定めた金額を満たしている
  2. 純資産が資本金または出資額が100分の90以上に相当する額である
  3. 過去5年以内に役員等が不動産特定共同事業に関する不正を行っていない
  4. 事務所に1名以上業務管理者を配置している
  5. 不動産特定共同事業が定める「契約約款」の基準を満たしている
  6. 不動産特定共同事業を行うための財産的基礎がある
  7. 不動産特定共同事業を行うための人的構成がある
  8. 電子取引業務を適確に行うための体制が整備されている

参考:国土交通省|不動産特定共同事業の許可の要件

 

不動産特定共同事業法の改正ポイント

不動産特定共同事業法は、過去に3度の改正が行われています。以下で具体的な改正ポイントを解説します。

 

2013年の法改正

2013年の法改正により、特別目的会社(SPC)を活用した倒産隔離型の事業を可能とする特例事業制度が導入されました。2013年の法改正までは、原則、不動産特定共同事業を実施するためには国土交通省の許可が必要でした。しかし、特例事業制度は例外的に、不動産特定共同事業の許可を得なくても一定事項の届け出があれば、不動産特定共同事業の運営が可能になりました。

 

2017年の法改正

2017年の法改正では、事業者が不動産特定共同事業に参入しやすいような環境が整えられました。主なトピックは以下の2つです。

  • 小規模不動産特定共同事業の創設
  • 電子取引業務への対応

小規模不動産特定共同事業の創設により、大手企業よりも資本力が少ない中小企業でも不動産特定共同事業が可能となりました。小規模事業者は資本金1,000万円が基準となっており、事業者の新規参入を促進しました。
同様に書面の電子交付が可能となり、ネット上での不動産クラウドファンディング等の不動産小口化商品の活発な売買が可能となりました。 

2019年の法改正

2019年の法改正では、さらに不動産小口化商品が取り扱いやすい環境が整いました。主なトピックは以下の5つです。

  1. 不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドラインの策定
  2. 不動産特定共同事業法施行規則の改正
  3. 不動産特定共同事業への新設法人の参入要件の明確化
  4. 不動産流通税の特例措置の延長・拡充
  5. 特例事業者の宅建保証協会への加入を認める

ガイドラインが策定されたことにより、投資家保護の観点から、顧客情報の管理やクーリングオフ制度などが整備されました。また、新設法人でも不動産特定共同事業の許可を得られるようになったため、新規事業がスピーディに開始されるようになり、新しい金融商品などが早期に認可される流れが整いました。

 

不動産投資の一種として期待が高まる不動産クラウドファンディング

今回は、不動産特定共同事業法の基礎知識や改正ポイントについて分かりやすく解説しました。

かつてバブル期に登場した不動産小口化商品は、法整備の整っていない状況下で販売されていました。その結果、バブル崩壊とともに事業者の倒産が相次ぎ、大損する投資家も出て法整備の必要性が出てきました。

不動産特定共同事業法は、こうした過去の背景から制定された法律です。過去に大きく3度法改正が行われており、特に2017年と2019年の法改正により、不動産クラウドファンディングなどがやりやすくなりました。

今後も適正な事業者の事業運営と投資家保護のために不動産特定共同事業法は法改正される可能性があります。法整備が整いつつある今は、個人投資家にとって不動産クラウドファンディングを利用する絶好の機会と言えるかもしれません。

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